中村家資料

  

大正4年(1915)から昭和29年(1954)の間、本町地区で写真館を開いていたのが中村藤松氏でした。
明治18年(1885)生まれの藤松氏は、野々市尋常高等小学校卒業後、大阪の写真館で修業しました。日露戦争が始まると志願兵として海軍に入隊し、除隊後は海軍にちなんで「中村光海写真場」として写真館を自宅で開業し、2階には大きなガラス窓が付いた写場を備えていました。
当時は自然光による撮影が主で、感光材を無色透明のガラス板に塗布した写真乾板を用いており、フィルムが一般的になるのは昭和10年(1935)頃と言われています。
中村家に残されていた写真乾板のうち約180点が市に寄贈されました。市ではこの乾板を印画して電子データも保存しています。
中村家の写真は、結婚式や葬式、入学式、卒業式などの出張撮影がほとんどです。その多くは撮影の日時や場所も不明ですが、大正から昭和にかけての地域のようすを記録した貴重なものと言えましょう。