磨製石斧 |
磨製石斧は丁寧に磨いて仕上げた石斧で、木の柄に付けて木の伐採や加工に使いました。小型で幅の小さいものは、ノミの用途として使われたものでしょう。形態には乳棒状のものと、両端が角ばる定角式と呼ぶものがあります。石材には粘りがあって割れにくい蛇紋岩が多く、その産地は、福井県九頭竜川上流、富山県と新潟県の県境から青海川上流域です。 |
打製石斧 |
斧の形に加工された打製石器です。土掘りや根切りの道具として鋤や鍬のように木の柄に付けて使い、ヤマノイモやクズなどの根茎類の採集や住居の竪穴や柱穴の掘削を行いました。形態には、短冊形[たんざくがた]・撥形[ばちがた]・分銅形[ふんどうがた]があり、刃縁の形は丸いものや直線的なもの、偏ったものがあります。
出土点数の4,943点は最も多く石器の約41%にあたり、打製石斧の頻繁な製作と消費を表しています。石材のほとんどは容易に得ることのできる手取川と犀川流域産の火山礫凝灰岩、緑色凝灰岩、砂岩が使われています。
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石匙 |
上部につまみ状の突起をつくりだした形態が特徴で、縦型と横型があります。両側は押し剥[は]いで剥離[はくり]し、刃をつけています。動物の解体や骨・木などを加工する万能の小刀で、つまみの部分に紐を結んで身に付けていたものと考えられています。石材は硬い材質の輝石安山岩やフリントが用いられています。 |
削器 |
削ったり、切ったりした道具で、押し剥[は]いで剥離[はくり]し、刃をつけています。おおまかな形態と刃のつき方から、縦型と横型があります。石材は硬い材質の輝石安山岩やフリントが用いられています。 |
石鏃 |
シカやイノシシの獣類や鳥類などの狩猟具として弓矢が使用されており、石鏃は矢柄の先に装着したものです。形態は三角形や五角形が基本で、基部のつくりから無茎[むけい]、有茎[ゆうけい]に区別できますが、ほとんどは矢柄で挟んで装着する無茎のものです。
石鏃の側面はシカの角などを使って押し剥[は]いで剥離し、刃をつけています。石材は硬い材質の輝石安山岩やフリントが用いられています。
1,613点の出土点数は石器の約13.5%にあたり、活発な狩猟活動を示しています。狩猟による食物の獲得をはじめ、動物からは毛皮、角、骨も得ていました。
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石錐 |
孔をあける穿孔具[せんこうぐ]です。形態は、つまみが上部にあり棒状に細長くのびるもの、つまみがなく三角形のもの、上下とも尖るものがあります。つまみがあるものは指で挟んで使い、ないものは木や骨角などの柄に着けて両手でもんだり、弓錐の使用が想定されています。石材は硬い材質の輝石安山岩やフリントが多く用いられています。 |
石錘 |
漁網の下側に一定の間隔でつけた錘と考えられ、紐をかけるための加工がみられます。紐かけの加工によって、自然礫の両端を打ち欠いた打欠[うちかき]石錘、両端に擦って溝をつけた切目[きりめ]石錘、擦った溝が一周する有溝[ゆうこう]石錘、敲打[こうだ]での溝が一周する敲打石錘に分けられています。 |
磨石・敲石・凹石 |
手ごろで握りやすい大きさの自然礫を利用したもので、堅果類[けんかるい]のクリ・クルミ・トチ・ドングリ類などの殻を打ち割って取り除く作業や、石皿を台として食料を磨[す]りつぶしたり、砕いたりする作業に使われました。磨石は磨った跡のあるもの、敲石は敲[たた]いた跡のあるもの、凹石はくぼみのあるもので、磨った、敲いた、凹の痕跡が一つだけのものもありますが、多くが用途を兼ねていたことから痕跡が重複してみられます。
磨石・敲石・凹石の出土点数3,016点は打製石斧についで多く石器の約25%をしめています。石材は砂岩の割合が最も高く、身近に確保できるものです。
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石皿 |
敲石・凹石・磨石を用いて植物質の食料などを磨[す]りつぶしたりした粉砕具[ふんさいぐ]で、多くは大型の扁平な自然礫を利用しています。形態には、まわりに縁があるものや、中央部がくぼむもの、平坦なもの、側面に突起と溝で装飾しているものもあります。
石材の6割は砂岩で、ほかには角閃石[かくせんせき]安山岩や緑色凝灰岩などが使われています。
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砥石 |
研磨[けんま]作業に用いたもので、磨いて仕上げた磨製石器や垂飾・玉などの製作に使われました。
溝状の砥ぎ痕が多くみられ、溝は、幅が狭くて深いものや、幅が広く浅いものがあります。断面形が四角状で全面が擦られた長細い形状のものがあり、定形化した砥石と考えられています。
石材のほとんどは砂岩ですが、砥目[とぎめ]の違う細粒・中粒・粗粒の製品があることから、研磨の工程や用途に応じて砥石を使い分けていたことがうかがえます。
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擦切用石器 |
石材などの切断や加工に用いたもので、擦って使いました。厚さ5〜10mmほどに加工した石材の端部に鋭角の刃を付けていますが、全形を知ることのできるものは出土していません。ほとんどが砂岩製で、緑色凝灰岩や粘板岩製が数点みられます。 |
軽石製品 |
孔があけられた軽石の製品が1点出土しています。水に浮くことから漁具の浮子うきに使われたのかもしれません。 |
環状石器 |
ドーナツ状の形態で、尖りぎみに成形された周縁の一部は、打撃をうけて剥離しています。用途は不明で、縄文時代晩期の飛騨地域に多くみられるものです。 |
三脚石器 |
三叉[みつまた]形に成形し、磨いて仕上げています。一つの棒状部だけ大きくつくられ、打撃痕がみられますが、用途は不明です。 |
異形石器 |
y字状の形態で、削器のように刃がつけられています。硬い材質のフリントで製作せれていることから、削ったり、切ったりした道具でしょう。 |