出土品解説

石製品の種類
御物石器
御物石器
上部に抉り込みが入いり、底面は平らで断面が三角形状になる形態が特徴です。上部は摩耗によってとくに滑らかになっており、据えて置いた状態の御物石器を人々が手でなでたのではないかと想像していますが、何のためのものかは不明です。
名称は、穴水町比良[あなみずまちびら]出土の石器が1877年(明治10)明治天皇の北陸巡幸時に献上されて帝室の御物になったことが由来で、形態や用途によるものではありません。飛騨・北陸地方に多くみられる石製品です。
石冠
石冠
形態には山形状、半円形状、斧形状、亀頭形状などいろいろあります。対称形で底面も意識していることが共通のようで、装飾や土器と同じ文様を施すものもみられます。亀頭形状の一部は生殖行為を表したものとみられ、性に関する呪術や儀礼に使われたとする説があります。
火熱を受けたりして故意に壊されるものも多く土偶との共通性がみられ、鰹節形[かつおぶしがた]石製品や、石鋸[いしのこ]と呼ばれているものも石冠の一部と考えられます。石材には緑色凝灰岩、凝灰岩、砂岩が多く使われています。冠の名称はかつて人骨の頭部あたりで出土したことからで、用途によるものではありません。飛騨・北陸地方に多くみられる石製品です。
石棒
石棒
断面が円形や楕円形になる棒状の製品で、一端をこぶ状や亀頭状につくりだしています。亀頭状の形から男性器を象徴するもので、呪[まじな]いの道具として使っていたと考えられます。火熱を受けて損傷しているものも多く、石材は頁岩[けつがん]や緑色凝灰岩が使われています。
石剣
石剣
棒状部の両側に刃がつき断面が菱形にちかいものを典型とすることから剣の名がつき、断面が円形や楕円形もの、両端が尖るものなど多様な形態があります。呪[まじな]いの道具として使っていたと考えられ、御経塚遺跡では両端が尖るものが多くみられます。石材は頁岩[けつがん]や緑色凝灰岩が使われています。
石刀
石刀
棒状部の片側に刃がつき断面が楔形にちかく、柄[つか]状部がある形態から刀の名がつきました。柄[つか]状部は装飾され、赤く塗られたものもみられ、呪[まじな]いの道具として使っていたと考えられます。火熱を受けて損傷しているものが多く、石材は頁岩[けつがん]と緑色凝灰岩が使われています。
垂飾
垂飾
紐で吊るしペンダントのとしての装身具や呪[まじな]いの道具として使っていたと考えられます。C字状をした勾玉や楕円形、不定形のものがあり、孔の多くは上部に位置しています。
垂飾の約5割が新潟県姫川上流産の硬玉[こうぎょく](ヒスイ)製で、ほかには石筆[せきひつ]質や凝灰岩が使われています。
玉
孔に紐を通し複数をつらねたネックレスとしての装身具や呪[まじな]いの道具として使っていたと考えられます。形状により丸玉、臼玉、長玉に分類され、円形断面の中央に孔があけられています。玉の6割が新潟県姫川上流産の硬玉[こうぎょく](ヒスイ)製で、2割が石筆[せきひつ]質製です。
線刻礫
線刻礫
線刻された礫で、5角形に整形されています。用途は不明です。

他の石製品として、板状の石に加工をほどこした岩版、自然石に線を刻んだ線刻礫、孔のあけられた穿孔石製品が出土している。
 石材は緑色凝灰岩であるが、岩版は柔らかい石質で火熱を受けて損傷している。
いずれも、用途は不明である。
岩版
岩版
楕円形や長方形の板状になるもので、文様は抽象的な顔面で、呪[まじな]いの道具として使っていたと考えられます。
穿孔石製品
穿孔石製品
扁平な円形の礫に孔をあけているものです。用途は不明ですが、孔があいていることから装身具かもしれません。